今回は相続で重要な言葉(一次相続、二次相続)を説明します。
言葉の定義を明確にすることで、 何の話をしているのか を把握しやすくしましょう。
語句説明
被相続人:亡くなった方
一次相続:被相続人が亡くなった際に、その配偶者が相続人となるケース
二次相続:被相続人が亡くなった際に、その被相続人自身が、その配偶者の相続人であったケース
一次相続での遺産分割協議では、二次相続を意識しておくことが重要です。
具体例
父P(90歳)、母M(85歳)、その息子S(50歳)、その娘D(35歳) の4人家族がいるものとする。
父Pが 西暦2030年3月1日に亡くなった場合。
父Pの相続人は、 母M、息子S、娘D の3人となる。(=一次相続)
その後、母Mも老齢で亡くなった場合。
母Mの相続人は、 息子S、娘D の2人となる。(=二次相続)
何故、一次相続での遺産分割協議では、二次相続を意識しておくことが重要なのか?
その理由は 相続税 です。
一次相続の場合、被相続人の配偶者には、配偶者特別控除を利用できます。
これを利用すると、
配偶者は 相続財産が最低1億6000万円以下であれば、相続税はかかりません。
(2024 / 7 / 1 時点)
仮に 父Pの遺産総額が1億6000万円で、その全額を母Mが相続したとすると
一次相続においての 相続税支払額は ゼロ円となります。
その後、老齢の母Mが亡くなった際に、遺産総額が1億5000万円あったとしたら
その相続には S と D になります。
その場合、相続人が2名なので、
基礎控除額は 3000万円 + 600万円×2名 の 4200万円ですので、
約1億円に対して、相続税がかかることになります。
2億円未満なので相続税率は40%です。
おそらく、このケースでは 一次相続と二次相続で払う相続税総額を、もっと安くできたはずです。
例えば、一次相続で SとDがそれぞれ2000万相続し、
母Mが1億2000万円相続した場合 も 相続税支払額は ゼロ円となります。
その状態で 母Mが亡くなった場合は、
1億2000万円ー4200万円 の 約8000万に対して相続税がかかることになります。
1億円未満なので相続税率は30%です。
こんな粗っぽい分割案でも 大きく相続税額が異なるので
二次相続も意識した一次相続が重要となります。
相続Q&A13(語句説明1)
